RT日記

武蔵野での生活。

2018年5月17日(木)

 昨晩朝食仕込みを忘れたうえに8時起きといういつも通りの朝。急ぎご飯をつくり、新聞を読む。昨日買った新しいシャツを着る。なんで新しい服に袖を通す時ってあんなに気持ちいいんだろう。

 出勤。恐ろしく暇である。18時までで来客数わずか4人。今のうちにと思うことにして入荷予定の新アイテムの準備とメルマガの下地作りを行う。ビル・エヴァンスのポートレイト・イン・ジャズを日中ずっとかける。

 この年になって、やっとこのピアニストによる演奏が心の奥に響くようになった気がする。静かで理性的、でも足取り軽やかで、生命力にあふれていて、愛があって。こういうのを、生きることを肯定している音楽、といえばいいんだろうか。20代の頃は「気取った音楽」と思っていた。いまでもその気持ちが全くなくなったとは思わない。でも随分と小さくなった。自分を少しは愛せるようになったのかもしれない。そういうことにしておく。このアルバムは今のところラストトラックのBlue in Greenが気に入っている。

 閉店後、ワインのテイスティングについてすこし考える。最近、テイスティングはどちらかというと体得に近いんじゃないかと思うようになった。頭で覚えるというよりは、体に叩き込む体系の知識という側面が強いアクション。自転車や武道、外国語習得などと同じ性格のような気がする。ということは、テイスティングの精度をあげるには、外国語習得と同じように、できるだけ多くワインを「意識しながら」飲むのが最も良いということになる。しかし、ここに問題がでてくる。ワインはお酒である以上、飲めば飲むほど酔ってしまい、知識としての定着度が落ちてしまうという問題だ。これを防ぐにはどうすればよいか。今のところ僕が考えているのは「毎回飲み込まずに吐き出す」だ。

 帰宅後、翌日仕込みをして風呂入って寝る。しかし毎日生活しているな。

2018年5月16日(水)

 今週は社長と休日を交換したので、今日がおやすみとなる。昨晩に作り置きしておいたサラダを朝一で食べてみる。オリーブオイルでのミキシングまでしてしまっていたので大丈夫だろうかと思っていたがちゃんと美味しい。やはり仕込み作戦は採用である。あとブロッコリーは適当なフルーツとともにスムージーにして摂るのが一番良いと最近気がついた。

 朝からじっくり1時間新聞を読み、そのあとはひたすら英語発音の打ち込み。この作業相当時間をとられている。1ページだいたい1時間弱かかる。いま主要母音の3分の2が終わったところ。このあと子音を26項目やって、さらに2重母音か。

 その作業の合間にYouTubeサンドウィッチマンのコントを見る。面白い。テンポがいいのだろうか。ボケとツッコミの間もそうだけど、ボケツッコミとボケツッコミの間隔のテンポも重要なのかもしれない。

 夕方にGUでシャツをいくつか買う。帰宅後、また打ち込み作業に戻る。夜、彼女と電話して就寝。

2018年5月15日(火)

 昨晩は12時に寝たのに、8時に起床。8時間も寝てしまった。ぐっすり寝たこと自体は大変よろしいのだけど、こうなると勉強する時間がなくなってしまう。

 要領の悪さで知られる俺の朝は忙しい。1時間弱を食事・弁当の支度、30分を朝食、30分を新聞購読に費やすと、2時間弱がどうしても取られる。8時に起きたら10時ちょいである。10時20分には家を出なくてはならないのでこれでほぼフルタイムなのだ。これではいつまでたっても勉強をすることができない。なんとかこの状況からなんとか脱出したいい。そのためには以下の3つが考えられる。

1、早起きする

2、食事の手間を省く

3、食事サイクルを変える

 1の「早起きする」が現状目指すところだ。7時に起きたら1時間、6時に起きたら2時間の勉強時間が確保できるわけだ。最高。人間、6時間も寝れば睡眠は足りてるんじゃないのか。聞けば石田ゆり子さんも6時間睡眠だというし。石田ゆり子が6時間睡眠だからなんなんだと言われればその通りなのだけど (ちなみにジェフ・ベソズはどんなに忙しくても8時間睡眠は守るらしい) とりあえずやってみて、もし足りないというのなら11時に寝て7時間睡眠にすれば良い。11時就寝、6時起床。夢の健康生活。僧侶みたいでかっこいい。

 しかしこれでは勉強時間はあっても読書時間がない。読書がない人生はつらい。最低でも1時間は欲しい。しかし5時起きはさすがに乗り気になれないしサステイナブルではない。じゃあどうしよう。2の「食事の手間を省く」は正直あんまりやりたくない。食事で手抜きはあまりしたくないのだ。理由はなんとなくなんだけど。

 じゃあ3と組み合わせればよいのではないか。つまり、「仕込み」という概念の導入である。俺の朝飯はだいたい決まっていて「ご飯 鯖缶の味噌汁 サラダ だし巻き卵 おくら納豆」である。弁当は「ご飯 鶏ハム サラダ 味噌汁」だ。これらのうち、できるところを前日の夜にやってしまえばいいのではないかということである。そうすれば朝やるべき作業は随分と減る。具体的にはこれらができる。

・ご飯の準備・なんなら炊き

・味噌汁・出汁巻き卵用の出汁をとっておく、なんならだし巻き卵つくっちゃう

・サラダのミキシング・オクラ納豆のセット

 見て思ったんだがこれほぼ全部やんけ。前日のうちにできるだけ次の日の飯を用意しておく。これだ。酔っ払って帰宅したときにもできるのかという避けて通れないであろう大きな課題はあるがそれはその時に考えれば良い。さっそく今夜からやってみよう。

 仕事は忙しくはないがちょいちょいやることのあった1日だった。早上がりさせてもらって八百屋で野菜を購入し帰宅。そういえば「油とりすぎで下痢になってるのでは説」はどうも当たりのようだ。昨日からドレッシングを使わずに生でバリバリいく草食動物スタイルに変えたとたん、お腹ゆるゆるがピタリとやんだ。やはり油が我が天敵か。

 そして今日から「私家版折々のことば」というのをAnkiにつくってみた。鷲田清一さんの「折々のことば」の自分バージョンだ。ぐっとくるような言葉を見たり聞いたりしたら全部ここにぶち込むのだ。最初は山里亮太の母の言葉にした「努力をして結果がでれば自信となり、努力をせずに結果がでると奢りとなり、努力をせず結果も出ないと後悔が残り、努力をして結果がでなくても経験は残る」というものだ。いい言葉だと思う。こういうものをできれば1日1個ずつ追加していきたいが、多分無理だろう。気負わず。ちょっとずつ追加していくくらいの心持ちでいこう。気負っていいことなんかこれまでにひとつもなかっただろう。

2018年5月14日(月)

 お休みである。午前中に再配達をお願いしていた荷物が届く。デカフェコーヒーである。最近コーヒーが好きで前にも増してよく飲んでいるんだけどカフェインによるあのジリジリとした焦燥感がどうも慣れない。短時間に2杯飲むと焦燥感に支配されてしまう。でもコーヒーは飲みたい。肝臓を年中酷使している身としてはクロロゲン酸の恩恵にもあやかりたい。

 そこでデカフェコーヒーの登場である。さっそくフレンチプレスで1杯淹れてみた。これはいける。わずかにいも焼酎感があるのが謎だけど普通に美味い。もっとしゃばしゃばした感じなのかと思ったけど、そんなこともなくちゃんとコーヒー飲んでる感がある。これは定期的に取り入れたい。

  ビル・エヴァンスを聴きながら溜まっていた新聞を読む。帰宅困難区域解除の記事に差し掛かり、ふと、帰宅困難区域という文字から目が離れなくなった。

 帰宅困難区域。こんな言葉が、すっかり日常になってしまった。そしてそれにまったく慣れてしまった私たち。帰宅困難区域という記事をみて「まだまだ大変だな」とぼんやりとした、感想ともいえない感情を一瞬心に漂わせたら、もうすぐに次の記事に目を移すことができてしまう、2018年の私たち。

 午後にたまった新聞を読み、溜まっていた勉強の復習をし、買い出しにでかける。格安スーパーにて愛用していた鯖缶がなくなっていたのでショックを受ける。いったん帰宅して荷物をおき、ワイン勉強会に出席。たらふく飲んで帰宅。

2018年5月13日(日)

 嫌な夢を見た。ウディ・ハレルソン扮する警官(?)にビルから救出される夢だ。どうやら殺人者が迫ってるらしく、張りつめるような緊張感のなかでビルを脱出するのだが、途中のエレベーター内部で凄惨な死体を見てしまう、という内容である。夢ってなんなんだろう。そもそもなんでウディ・ハレルソン。刑事姿似合ってたけど。というかまんまスリー・ビルボードの格好であった。

 さっとサラダと弁当作って出勤。新聞を読めていない。月曜にまとめて読まなくては。急に朝飯を食べたからか、下痢に耐えつつ午前を終える。

 最近お腹を下すことが多い。痛みは伴わないんだけどゆるゆるである。最初は野菜の食べすぎかと思ってたんだけど、だんだん油の取りすぎのような気がしてきた。サラダに使うヴィネクレットソースをかけすぎなのではないのか。そういえば子供の頃から油への耐性が弱かった。ケンタッキーフライドチキンも全然好きじゃなかったし、天やを食べたらたいてい具合が悪くなった。ただしファミチキはめっちゃ好きだった。ファミチキが一番油の質悪そうなのに。ともかく、これをドレッシングかけすぎ仮説とし、後日検討する必要がある。

 日曜日、母の日。なんだかじわじわと売れていった印象。

 イケメンの男の子と化粧濃いめの女の子のカップルがシャトー・ド・フュイッセのマコン・ヴィラージュ 2015を買っていってくれた。シャルドネはすっぱいイメージを持っているようで苦手意識があるようだったけどこれを機にシャルドネの印象が変わってくれれば嬉しい。

 母の日にプレゼントしたいといっていた綺麗な女性。オルメーラビアンコとロイマーのリースリングロイザーベルクも紹介したなかでジャン・ルイ・シャヴィのブルゴーニュ・ブランを選んでくれた。そしてお寿司とあわせるということでベビードール スパークリング ブラッシュ。テイスティングで出したフレッド・ロイマーのリースリングを美味しそうに飲む姿が素敵だった。またきてくれたら嬉しい。

 接客業は名前の知らない人たちと話す連続だ。その人たちが、ほぼ他人である僕たち販売員にほんの少しだけ見せてくれる顔と一緒に「飲みたいワイン」を探していく。とても繊細で頼りない試みだと思う。でもその頼りなさやデリケートさ、一回性の強い性格だからこそ立ち上がる類のものもあるんじゃないのかな、あるといいな、と思っている。どうすればその類のものが出るのかはわからないけど、そもそもそれがどういうものなのかさえ掴めていないけども、でもせめて、それが立ち上るようにするためには、一回一回の接客を、真剣にやる他ないのではないだろうか。しっかりと耳と目を働かせ、相手のことを理解できると思い込まず、しかし理解しようと努力する。力みすぎず、ユーモアを忘れず。それを何度も繰り返すしかない。何事も「練習」と「型」なのだ。

 八百屋で馬鹿でかいケールがあったので買ってしまう。野菜と卵を買って社長に卵を割られる。酔っ払っていたので帰り道に油そばを食べて(美味しかった)ツタヤでDVDを借りて帰宅。面白いことが言える人間になりたいのでお笑いのDVDを借りてきたけどこんなやつが面白いことなんて言えるようになるはずがないよなぁと我ながら思う。なので関係なく、笑うために借りてきたことにする。彼女と電話したけど酔っていたので話した内容はほぼ忘れてしまった。

2018年5月12日(土)

 実家で目覚める。10時仙川発の電車に乗らなくてはならなくて、そのためには最低でも9時30分には起きなきゃいけないんだけど9時38分に起きた。昨晩のことはほとんど覚えてないけど、どうやら4時くらいまで飲んでたらしい。元気な大学生か。

 ふらふらの状態で電車に乗る。寝てればいいのに、ふらふらの頭で判断がバカになってるから岸政彦さんの「はじめての沖縄」を読もうとする。面白いくらいに文章が頭に入ってこない。一語一句もれなく上滑りしていく。スケート読書。事務所で昼寝して、ちょっと回復。仕事は母の日前日だってのにめっちゃ暇だった。ゴールデンウィークバブルの弾ける音を聴いたような1日だった。別にバブルいうほど盛り上がったわけでもないけど。

2018年5月11日(金)

爽やかな五月晴れ。昨日10時に寝たというのに7時まで寝てしまった。なんだか最近一定の割合で9時間睡眠を取っている気がする。身体が求めている睡眠という気がする。こういうのは素直に受け入れ、とれるときにとったほうがいいんだろうなと思う。困るのは脳が睡眠を求めているときで、そういう時はいくら寝ても満足してくれない。そして脳が睡眠を求めてくるような状況は、たいていの場合抜け出すのが容易でない、ような気がする。自分の脳がそうならないようにできるだけ気をつけているんだけど。(とはいっても飯ちゃんと食ったり散歩とかしたり程度)

 朝、ご飯を食べて勉強していると隼から今日飲み行こうぜとメール。仕事が定時に終わったらねと返信する。

 金曜日はメールマガジンを作成しなくてはいけないので一番忙しい曜日だ。新着ワインの解説文をつくり、輸入元の紹介文をコピペしたものを自分風味に味付けし、全体を編集する。この作業は結構好きなんだけど、もっと時間があれば、といつも思う。もっと腰を据えて書きたいし、もし時間が許せばちょっと寝かせて、もっと洗練された文章にしたい、と、もやもやしてしまう。でももちろんそんなに時間はかけられないし、時間をかければいい文章になるのかというとそういうことでもないような気がする。金曜の夜に配信することは決まっているので毎回「まぁこんなもんかな」というところで切り上げる。もやもやだけは心の隅にほんのわずかな量が残り、それは沈殿し、堆積し、やがて自分と一体化していくのだろう。川崎昌平さんの漫画「編プロガール」で、編集長が「これまで何年も編集をやってきたけどな、心の底から満足できた編集なんてただのひとつもねぇよ」とこぼすシーンを思い出す。みんなそんな感じなのだ。

 結局今週もまぁまぁぼちぼちやな、みたいなところでメールマガジンを送信する。フレッド・ロイマーの2017ヴィンテージ評を訳したのが楽しかった。翻訳をしているとその文章の肉部分にぐいっと食い込む、そんな感覚に捉われることがある。あまり似た知的経験を知らないのだけど、あれってなんなんだろう。月並みな表現をつかうと「深く読む」ことになるからだろうか。面白い。翻訳にちょっとだけ興味があるけど、絶望的なまでに英語力が足りてないのが悲しい。 

 閉店後、社長と隼の三人で飲む。グロ・プランとフォレスト・ヒルリースリング、ソーブレ・リアス。白ばっかか。そのあとタクシーで仙川に向かい、サンセールでしこたま飲む。あんまり覚えてないけど途中で俺は寝ていたらしい。隣に座ってたお姉さんたちと何かを話したと思うけど全部忘れた。